2017年08月14日 カテゴリ:同僚・友人  コメント:(0)
240:2016/06/24(金) 17:32:38.30
中学校に入学したばかりのころ。
中1にして身長180cm弱、体重100kgオーバーのデブ男とクラスメイトとなったのだが、
このデブ男、浅黒い強面で言動は粗暴、あっという間にクラスのイキがった連中まとめ上げ
いじめグループを形成した。
気の弱そうな奴はデブ男率いるグループに小突かれ、女子は胸を触られたりスカートめくられるなど
やりたい放題。
皆、デブ男グループになるだけ近寄らないように最初の1学期を過ごした。


最悪だったのは2学期の始まりの席替えで俺の真後ろの席にデブ男がやってきたことだ。
今でこそ日本人平均以上の体格を持つ私ではあるが、当時は身長160cmちょいの痩せ型。
自己主張の弱い「ただのガキ」である。
授業もろくに聞かず暇を持て余したデブ男にとって、おれは暇つぶしには格好の標的だったのだろう。

授業中に背中を鉛筆で刺す、定規で頭を叩く、言いがかりをつけては拳で殴るなどのちょっかいを
毎日のように受けた。
デブ男グループの連中も便乗してくる。すっかりいじめられっ子状態に。
やがてちょっかいでは済まされないレベルに達し始めてきた。
241:2016/06/24(金) 17:33:17.92
そんな様子をたまたま教室の前を通りがかった幼馴染の親友Aが目撃したらしい。
Aは体形こそ俺と同じくらいだが、頭脳明晰、スポーツ万能、リーダーシップもある。
唯一難点があるとすれば自己主張が強すぎて付き合うのがたまに面倒になることだ。
Aは、よってたかって小突かれる俺の無様な姿にとても悔しい思いを抱いたらしく、
放課後俺を呼び出しキツイ口調でこう言った。

「我慢していい時と悪い時がある」

Aとは幼いころから一緒に剣道場に通った仲でもある。
競技としての剣道だけではなく、組み合い、当て身など剣を持たない状況での戦い方まで指導する
武術色の強い道場であった。
何かにつけて華のあるAに比較して私は気も弱く地味だったゆえ、
周囲も自分自身も気付いていなかったのかもしれない。
才能豊かなAともそこそこ対等に渡り合える力は長年の稽古で培われていたのだ。
そのことは俺自身よりAのほうがよく分かっていたのだろう。


「あいつ、ただのデブじゃん。お前が負けるわけがない」
「でも相手は6人がかりだよ」
「烏合の衆が暴れる奴相手にチームプレイなんかできない。
誰かひとり倒せばそれ以上の反撃はない。どうせなら頭を叩くのが一番。(道場の)先生言ってたじゃん」
「先生じゃなくてどっかの漫画でしょ、それ」
「まぁ、思い切ってやってみなって。先生は習ったことを喧嘩に使っちゃいけないって言ってたけど、
このままじゃお前ずっとこの生活続くぞ」
「・・・」

「お前は気合が足りないんだよ。最初のうちにヤメロって怒鳴っておけばこんなにエスカレートすることはなかったんだ」
「・・・」
A、これで同じ中1である。とても同じ年のガキとは思えない、
時に煩わしく時に頼もしい存在だ。俺とAとの関係は大人になった今でも変わらない。

242:2016/06/24(金) 17:34:12.63
そうは言われたものの、
普通の大人以上の体格を持つデブ男、現在進行形で成長中。
そんな奴に「ただのガキ」としてはやはり身がすくむ。

だが、その時は来た。
とある昼休み、教室の隅でデブ男グループに四方八方から頭をはたかれ、けりを入れられ、
罵声を浴びる。
シャツの前ボタンをぶち切られ上半身がはだけたとき、
ついに俺の中でスイッチが入り道場での稽古さながらの気合を発しながら正面にいたデブ男を
両手で突いた。
重い。体重差倍近くである。突き押してもビクともしない。
すかさずデブ男の反撃が始まった。

頬を殴られたあと胸を突かれよろけながら数歩後退。
やっぱダメだと思ったとき教室の入り口からAの声が聞こえた。

「間合いを取れ」

デブ男たち、見て見ぬふりをしていたクラスメイトたちが俺とAをかわるがわる見る。
デブ男グループの一人が「なんだよ、てめぇ」とAに詰め寄る。
Aは難なくそいつを足払い一つで床に這いつくばらせる。
この落ち着き払った態度、まじ中1なんかい、こいつ。だがその光景が俺に落ち着きと勇気を与えた。

243:2016/06/24(金) 17:34:55.48
Aの言うとおりに間合いを取りじっとデブ男を見たら、パンチがのろいのろい。デブだけに出足も鈍い。
猛スピードで絶え間なく飛び込んでくる竹刀を捌くことに比べたらまったく当たる気がしない。
一方俺のパンチは面白いように当たる当たる。
殴っては遠間に逃げを繰り返す。ボクシングでいえばヒット&アウェーってやつだろう。
ただ、体重の差はいかんともしがたい。
ボクシング経験者ならこれだけのスピード差のある相手、チンあたりを打って一発KOを狙うのだろうが、
俺は拳での殴り合いに関しては基本的に門外漢。

そのことが逆に、著しい体格差とパンチング技術のつたなさゆえの”倒せない拳”が延々と一方的に
デブ男の顔を叩き続けるというある意味凄惨な展開を生み、
ついにデブ男は反撃どころか防御の仕草すらできなくなり鼻血だらだらで戦意喪失。
Aが割り込みその場の決着はついた。
Aは「よくやった、よくやった」と俺の肩に手を回す。
デブ男グループはそのまま退散。
ギャラリーのクラスメイト達はレスラーのような体格のデブ男に挑んでいった
「ただのガキ」の俺を驚きの目で見ている。

その後担任と学年主任に俺とデブ男は職員室に正座させられ延々と説教受ける羽目になるのだが、
デブ男の傍若無人な振る舞いはすっかり息をひそめ、クラスの秩序は回復した。
デブ男を殴っている最中俺はボロボロ涙を流していたようだ。
それ以来、俺は「泣けば強い奴」という評判が学内に広まった。

244:2016/06/24(金) 17:35:27.72
学年が変わりクラス替えがあったものの何の因果かデブ男とはまた同じクラスとなった。
だが、そのころにはデブ男との関係性は決して悪いものではなく、
むしろ一緒につるむくらいの仲になっていた。
拳が生み出す友情、昭和ならではの話だろうか。

時が過ぎ中学を卒業後の数ヶ月後、デブ男がスカウトされ相撲界に入ったことを新聞の地元欄で
知った。
15歳で身長185cm、体重135kg。スカウトされるには申し分ない体格かもしれない、が、
あの出足の悪さで通用するのだろうか?
元大関・朝潮などは、180kgの巨体で100mを14秒台で走るという。
正直、デブ男が通用するとは思えなかった。


さらに数年経ち、地元のお祭り会場の出店で焼きそば売っているデブ男を見た。
頭に髷はなく、パンチパーマでアロハシャツ。薄い色付きの小さなメガネ。どう見てもあっちの世界の
住人だろ。
ああ、やっぱりお相撲はダメだったんだ。厳しい世界だもんな。

ただ、デブ男の周りにはチンピラ風情の連中がうようよしている。
みなデブ男のことを兄さんと呼んでいる。
こういうコミュニティを形成できるところを見ると、「ただのデブ」というには過小評価なのかもしれない。

俺は中学のときと同じく呼び捨てで声をかけてみた。
デブ男は満面の笑みで表まで出てきて俺の肩を抱きしばらく談笑し、
俺とその時一緒にいた友人数名分の焼きそばをおごってくれた。

デブ男と対等の態度で接する俺に対し、チンピラ風情の取り巻きたち、
俺のことまで兄さんと呼ばわりするようになった。
コイツ等、時々飲食店街でたむろしているところに出くわすのだが、俺を見るとビシっと直立し、
「兄さん、お疲れ様です」と頭を下げる。
これにはちょっと困惑もしているのだが。周囲からなんか勘違いされそうで。
おれは立派なカタギであるがゆえ。


いじめられ体質を乗り越えられたのはAのおかげもあるが、
やはりこのデブ男の存在あってこそだと今では感謝もしている。

250:2016/06/24(金) 18:42:44.92
なんだかんだデブ男も憎めないな

252:2016/06/24(金) 19:14:54.90
やっぱ体鍛えとかないとイジメには対抗できませんな

255:2016/06/24(金) 22:26:54.90
知能指数が低い人の文章だなw

257:2016/06/24(金) 22:43:49.23
一人称がコロコロ変わるのが気になった

261:2016/06/25(土) 01:43:45.16
>>255
そこんとこは自覚している。だからまとめきれずに長文にもなるし>>257のような指摘も出てくる。
まぁ、かんべんしてくれ。




253:2016/06/24(金) 19:37:36.54
道場ってなんだよ天使な小生意気の小林かよ

261:2016/06/25(土) 01:43:45.16
>>253
あ、そのマンガついこの前BO●K ●FFで読破した。
俺のいた地域は剣道と柔道がすっごく盛んで、
強い奴はたいてい学校のクラブ活動にプラスして道場に通ってた。
文中に出てきたA、小林のようなストイックさが少々似ている。
実際、「剣道、棒がなければただの人」と柔道やっている奴から言われたのをきっかけに、
手刀での居合い型稽古を欠かさずやるようになったという、そんな奴。

260:2016/06/25(土) 01:24:13.58
こういう話を読むと男っていいなと思う
中1の時男子4人にいじめられてた女なので立ち向かうとか無理
140cmの30kgだったし

262:2016/06/25(土) 01:48:59.20
>>260
俺の通ってた道場の先生、すっごく強い人だったけど、
大勢を相手にするのに一番良い解決法は全速力で逃げる、そして近づかないことだと教えてくれたよ。
普段から、自分だけが知る退路を作っておくことが大事だとも言っていた。

263:2016/06/25(土) 08:18:14.08
いろんな流派があるんだよ。
キンケリ最高とか相打ちで生き残った方が勝ちとか
265:2016/06/25(土) 11:18:20.78
>>263
よく骨法とか喧嘩空手とか実践○○を謳う格闘技団体あるけど、
そこまで生臭い印象はありませんでした。
264:2016/06/25(土) 08:45:10.00

昭和初期、下手したら大正時代の話みたい

265:2016/06/25(土) 11:18:20.78

時代的には80年代前半、「荒れた学校」の問題がある程度落ち着いて代わりに「葬式ごっこ」などの
いじめがクローズアップされた時期。

266:2016/06/25(土) 11:27:06.55
>>265
もう生き地獄だ~!の時代やがな、同年代やがな
それにしては文体が古めかし過ぎやがな
夏目漱石辺りの時代の文学に影響受ける世代だからかな

267:2016/06/25(土) 12:28:08.58
>>266
「坊ちゃん」しか読んだことないけど、それは言えるかもしれないw


結局さ、ガキの喧嘩って武道やってるうんぬんよりも心持ちの差なんだよね。
例えば、体格以外の要素でガキ大将とかになる奴の一例に足が速い、ってのない?
最もシンプルな形で自己を誇示できるからね。皆から一目置かれる状況に慣れている。
剣道とか、いくら強くてもそれを一般に示す機会ってそうそうないわけで。

268:2016/06/25(土) 13:21:02.14
ガキ大将と力を誇示だけのいじめっ子は別だから。

270:2016/06/25(土) 14:32:36.97
>>268
文中の人物でいえば、Aは不良でもいじめっ子でもなかったけど、ガキ大将というにふさわしい
存在だった。

ただ、その境界線というのは非常にあいまいだったり、時にイコールというケースも多いのではないかな。
デブ男はそういった意味で、ガキ大将でありいじめ主犯格でもあったのだと思う。

確かに今のいじめというのは誰がリーダーというわけでもなく、
これといった形のない、得体のしれない空気感の中で醸成されているような気もするね。

269:2016/06/25(土) 14:10:39.85
よくそれだけ事細かに憶えているもんだな

271:2016/06/25(土) 14:39:37.14
>>269
いじめって、やった奴は軽い気持ちだが、やられた奴は克明に覚えているもんだよ。
見て見ぬふりをしていた奴ら一人一人の視線まで思い出してその時の孤独感がよみがえってくる。
実際、その後仲良くなったデブ男との間であの時こういうことされてキツかった、みたいな話したら、
帰ってきた答えが「全然覚えてない」だったから。
「何かのきっかけで大喧嘩したよね」というくらいの記憶になっていた。

272:2016/06/25(土) 14:50:31.36
だいぶ話がスレ違いになってしまった。すまない。


引用元:http://www.logsoku.com/r/2ch.sc/kankon/1464578799/

気になる人気記事

他サイト人気記事

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット

このページのトップヘ